Quentin Godetシグネイチャーモデルの軌跡
ten56. や Kadinja での活動で知られるQuentin Godetは、現代ヘヴィミュージック・シーンにおいて確かな存在感を放つギタリストです。高度なテクニック、メロディセンス、そして攻撃性を兼ね備えたそのプレイは、同世代の中でも高く評価されています。今回の一対一のインタビューを通して明らかになったのは、彼とVola Guitarsのパートナーシップが単にサウンドを形作っただけでなく、音楽を生み出すための「道具そのもの」を再定義してきたという事実でした。
その関係は、非常に自然で偶然の出会いから始まりました。2018年末、Guitare Xtreme Magazine のセッション中に初期のVolaモデルを手に取ったことがきっかけとなり、Volaチームとの会話が一気に進展。ほどなくして NAMM 2019 への招待を受けることになります。現地に到着した瞬間、Quentin Godetは不思議な親近感を覚えたといいます。「何年も前から知っていたかのような感覚で、すぐにしっくりきた」。その出会いから誕生したのが、彼自身が今なお「アイデアの最も純粋な形」と呼ぶUSA製QGMプロトタイプでした。このギターは、その後に続くすべての基準となる設計思想を確立します。タイトでモダンなスーパーSスタイル、そして明瞭なアーティキュレーションを核に据えたUSA Custom Shop OZ 7 QGMは、「このシリーズがどうあるべきかを、そのまま教えてくれたギター」だったと彼は語ります。
そのプロトタイプを指針として、Volaとクエンティンはひとつのビジョンを“シリーズ”へと昇華させていきます。最初の量産モデルとして登場したのが、OZ 7 QGM J1。Quentin自身、このモデルをシリーズの中核と位置づけています。アルダーボディ、ローステッドメイプルネック、Fire Ice ピックアップ、バーサタイルなスイッチング、そしてGotoh製ハードウェア。あらゆる現場で力を発揮するために設計された1本です。「J1はどこへでも持っていける。チューニングが違っても、バンドが違っても、必ず機能してくれる」。ツアー、作曲、スタジオワークを通して、その配線は「Kadinja的なタイトなスプリットコイルサウンドから、ten56.のヘヴィな方向性まで、ギターを持ち替えることなく対応できる」と彼は評価しています。25.5インチスケールと7弦という構成は、違和感のないフィーリングと高い柔軟性を両立し、J1はあらゆるジャンルに対応する存在となりました。
時が経つにつれ、Quentin がいかに多面的な音楽性を持つプレイヤーであるかが、より明確になっていきます。その特性は次のモデルにも色濃く反映されました。シリーズの拡張にあたり、VolaとQuentin Godetは、彼の表現の幅や感情的な側面に目を向け始めます。そうして誕生したのが、OZ QGM J2。J1のDNAを受け継ぎながら、6弦というフォーマットならではの個性を持つモデルです。「6弦には特別な感覚がある。手が自然にリラックスして、アイデアの出方が変わる」。その微妙なテンションと感触の違いが、J2をメロディ主体のフレーズ、クリーントーン、より表情豊かなプレイに適した1本にしました。人間工学的な設計やスイッチング、音作りの柔軟性はJ1と共通しつつも、J2は6弦ならではのミッドレンジの存在感と即応性を強調しています。Quentin Godetにとっては「いちばん歌うサウンド」を持つギターであり、手にした瞬間の反応そのものが新しい発想を導いてくれる存在です。加えて、Root Beer Sparkle フィニッシュが放つ気品ある佇まいも、このモデルを特別なものにしています。
しかし、Quentin Godet の音楽世界を語るうえで、最もヘヴィで低域に特化した楽器を欠かすことはできません。その要求から生まれたのが、OZ 7 QGM J3。シリーズ中、もっとも攻撃的でフォーカスされたモデルです。「J3は、少しの甘さも許されない場面で手に取るギター。すべてが完全にコントロールされている必要がある」。27インチスケール、新設計のヘッドストック、高出力のカスタムBare Knuckle ピックアップは、極端なロー・チューニングと強烈な歪みの中でも明瞭さと分離感を保つために選ばれました。それでもなお、「Twinみたいなクリーンアンプに繋いでもちゃんと良い音がする。それがバランスの取れたギターの証拠」と語るように、J3は単なる“ヘヴィ専用機”に留まらない懐の深さを備えています。重さと音楽性、ダイナミクスを両立させた1本です。実際のサウンドはぜひこちらで体感してください。
こうして完成したQGMシグネイチャー・シリーズは、Quentin 自身の音楽的アプローチそのものを映し出しています。J1はあらゆる現場に対応する万能な7弦。J2はメロディや創造的探求に向いた表現力豊かな6弦。そしてJ3は、最も低く、最もヘヴィな領域で精度を追求するための1本。「同じギターのバリエーションを3本作りたかったわけじゃない。3つの異なる声が欲しかった」。その言葉どおり、Daliでのベース参加や、ten56.初期音源でのベース録音、セッションワークなど、彼の幅広い活動は“その瞬間に最適な道具を選ぶ”という思想に貫かれています。QGMシリーズは、その考え方から自然に生まれた結果であり、作曲・レコーディング・ライブというすべての局面に寄り添う、彼自身の物語の一部となっています。
Volaチームは、クエンティンの音楽的キャリアの一端を共に歩めていることを誇りに思っています。そして次のコラボレーションにも、すでに胸を躍らせています。その時は、思っているより早く訪れるかもしれません。