壮大なコラボレーション

An Epic Collaboration

共同制作の力

コラボレーションほどワクワクするものはあるでしょうか?そんな問いが自然と浮かぶほど、Colton MartinBen McSherryの二人による今回の共演は圧巻でした。それぞれが愛用するVolaギターを手に、異なるスタイルと個性を融合させたこのセッションは、見ても聴いても心躍る仕上がりとなっています。

全体の雰囲気

動画は鮮やかなドラムフィルとともに、二人がロックの象徴「メロイックサイン」を掲げるシーンからスタート。その瞬間、これから始まる力強い楽曲を予感させます。プログレッシブロックとブルースの要素を絶妙にブレンドしたリフが展開され、冒頭から耳に残る魅力的なフレーズが印象的です。20秒を過ぎたあたりで、McSherryが印象的なダブルストリングベンドを披露。往年のロックレジェンドたちをも目覚めさせるような一撃です。彼のソロでは、パーカッシブなハーモニクス、タッピング、オルタネイトピッキング、そしてレガートの要素まで、多彩なテクニックが惜しみなく披露されます。曲の終盤では、二人がメインリフのオクターブを掛け合うように演奏し、まさに“繰り返しが正当化する(Repetition legitimizes)”というAdam Neelyの名言を体現。その演奏には洗練された構成美と熱量が共存しています。

また、映像面でも高い完成度を誇ります。Colton Martinは映像編集にも長けており、シームレスなトランジション、美しいカラーグレーディング、センスあるエフェクトを駆使し、作品全体を視覚的にも引き締めています。


背景紹介

Ben McSherryはカリフォルニア州サンノゼを拠点に活動するマルチインストゥルメンタリスト。プログレッシブメタルプロジェクト「Oceans In Silhouette」のメインコンポーザーとして活動し、オンライン上でも明るく親しみやすいキャラクターで人気を集めています。さらに、地元の音楽コミュニティでプロデューサーやエンジニアとしても活躍しています。

一方、Colton Martinはインディアナ州インディアナポリス出身の新鋭ギタリスト。元「Relics」のメンバーとして知られ、現在はソロアーティストとしてテクニカルでエネルギッシュなメタルコア/ジェントサウンドを追求しています。緻密な作曲センスと印象的なリフメイク能力に定評があり、モダンメタルシーンでも注目を集めています。

使用機材

今回の映像で使用されたギターは、いずれもVolaアーティストのシグネチャーモデルです。Quentin Godetによる「OZ QGM J2」と、Pierre Danelによる「Vasti 7 PDM J1」。それぞれの特性が見事に融合し、演奏全体に幅広いトーンと表現力をもたらしています。

Martinが使用したOZ QGM J2は、マホガニーボディにメイプルトップ、ローステッドメイプルネック、ローズウッド指板、Gotoh製ハードウェア、そしてHSS構成のVolaカスタムピックアップを搭載。その組み合わせが豊かで芯のあるサウンドを生み出し、トラック全体の土台を支えています。

一方のMcSherryは、アッシュボディとローステッドメイプルネックを採用したVasti 7 PDM J1を使用。リバースヘッドストック、ステンレスフレット、HSS構成を備えた7弦モデルは、高い柔軟性を持ち、両者の音楽的対話をより深く際立たせています。

総評

Ben McSherryとColton Martinによる今回のコラボレーションは、二人の異なる音楽的スタイルと才能が見事に融合した傑作です。プログレッシブロック、ブルース、メタルの要素を巧みに掛け合わせ、聴き手を惹きつけるパフォーマンスに仕上がっています。卓越した演奏技術と映像演出の融合が、Volaアーティスト同士の新たな可能性を感じさせます。次なるコラボレーションが待ち遠しい。そんな期待を抱かせる、見応えある共演でした。